ウェビナー/イベント情報

本イベントは、「The Orchestration 2026」カンファレンスで提示した“点を線にするマーケティング”という思想を、実際に体験するものとして、2026年5月26日に株式会社Bizibl Technologiesとフロンティア株式会社が共催しました。
BtoBマーケティングにおいて、多くの企業が個別施策の最適化に留まり、「戦略としてどう組み上げるか」まで踏み込めていないのが現状です。
本イベントではその課題に対し、オリジナルの「マーケティングカード」と書籍『トラクション スタートアップが顧客をつかむ19のチャネル』で提唱されていた「ブルズアイフレームワーク」を用いたワークショップを通じて、自社に最適な施策の組み合わせ(=デッキ)を構築するという内容です。
フレームワークを学ぶのではなく、フレームワークを「使う」。頭の中だけで考えていた施策の優先順位を、物理的なカードにして並べることで、自分の戦略の輪郭がはっきり見えてくる——。
この記事では当日の講演やワークショップの様子をお伝えいたします。
日時:2026年5月26日 (火) 19時00分〜21時00分
場所:フロンティア株式会社
内容:
19:00-19:25 基調講演(フロンティア株式会社 常務取締役CMO ⽥中 翔理氏)
19:25-20:15 マーケティングソリューションデッキ構築ワークショップ、共有会
20:15-20:35 公開Q&A
20:35-20:55 ネットワーキング

イベントはフロンティア株式会社 常務取締役CMOの田中翔理氏の講演から始まりました。
田中氏がトラクションに出会ったのは、「マーケティングは点で議論してもしょうがないので、『トラクション』みたいな本を読んで全体像を掴んだあとに、自分のサービスにマッチするようにやり続けるしかない気がします」という、けんすう氏のSNS投稿がきっかけでした。

トラクションが他のフレームワークと根本的に異なるのは、その実践性にあります。既存フレームワークが「顧客行動を理解する」「重要性を示す」といった認識の整理にとどまるのに対し、トラクションは「打ち手を選ぶ」「取り方を分ける」「施策に直結する」「優先順位をつけやすい」という行動に直結する思想を持っています。
(※スライドは当日の田中氏の講演資料より)


ブルズアイ・フレームワークのポイントは3つです。
01 CENTER PIN——一番効果的な1つのチャネルを選ぶ。
02 SUPPORT——中心を「強くする」ための施策を置く。
03 OUTER——後回しでもよい施策はOUTERに置き、深く注力しません。
田中氏がレディクルで設計したブルズアイは明快でした。
CENTER PINは「テレアポ」。タクシー広告はSUPPORT(キーマン認知)、展示会はSUPPORT(リード母数確保)、デジタル広告はOUTER(補完)——すべての施策が「テレアポを強くする」ために配置されていました。

会場で最も関心を集めたのが、このパートでした。
田中氏の答えは「世の中で正しい施策ではなく、自社で勝ちやすい施策を選ぶことが重要」というひと言に集約されます。テレアポを選んだ理由は3つです。
01 受注確度が高い
売上につながる打席を作りやすく、アウトバウンドの中で最も決裁者に届きやすいチャネルであったこと。
02 温度感が分かる
会話の中で相手の反応をすぐ確認できるため、仮説検証のサイクルが圧倒的に速かったこと。
03 再現しやすい
行動量を管理しやすく、「人数×架電数×接続率」で売上が予測できる構造を持っていること。

ここまで出していいのか!?と会場がざわついたのが、田中氏が5年間で試した13施策の詳細な公開でした。
田中氏は全施策の結果と評価をお話した後、こう締めくくりました。「実施前に分かる『正解』はない。中心(センターピン)を決めて、周辺で『増幅』する設計こそが資産になる」。
成功した施策も失敗した施策も、すべてがセンターピンを軸に設計されていたからこそ、評価できる基準が生まれます。「何が効いたか」ではなく「センターピンをどれだけ強化したか」という問いが、判断軸を明確にするというメッセージでした。
講演の後半では、現在の環境変化が語られました。
テレアポすら効きにくくなってきた今、従来チャネルが軒並み限界を迎えています。デジタル広告はCPM最高値を更新しCPC前年比+10%。タクシー広告は単価が3〜5倍に高騰。SNS運用はアルゴリズム変更でフォロワー数が無意味に。メールマーケはフィルタリング高度化で届かない——「プラットフォーム・アルゴリズム依存、単価高騰、ノイズ過多→『届かない』が常態化」している状況です。
そこで田中氏が提唱する次のセンターピンが「関係性投資」です。自社で「所有する関係性」を中心に据え、コミュニティとオフライン接点をSUPPORTに配置する設計。「今の勝ち筋は『会い続けられる状態』を作ること」というメッセージは、会場に大きな示唆を与えました。

この文脈で紹介されたのが3つの概念です。
ELG(Ecosystem-Led Growth):
SLG・PLGに続く第3の成長戦略。「自分で売らずに、"周りに売ってもらう仕組み"を作る」発想で、パートナーへの信頼を活用し高効率な成長を実現します。
Nearbound:
OutboundでもInboundでもない第3の経路。顧客の信頼をすでに勝ち得ている「隣人(パートナー)」の力を借りることで、既に信頼関係がある場所へ入っていく手法です。
コミュニティセールス:
「BtoB購買の86%は口コミで決まる」というデータが示すように、プラットフォームに依存しない「自社で所有する関係性」の構築が最強の武器になると語りました。
講演の締めくくりは、明快な3ステップでした。
01 全体を知る——TRACTIONの19チャネルなど、まずどんな打ち手があるかを掴む。
02 中心(センターピン)を決める——世の中で正しい施策ではなく、自社で勝ちやすい施策を1つ選ぶ。
03 周辺で増幅する——中心を「強くする」ために、何で支え、何を補完に回すかを設計する。
「皆さんなりのブルズアイを明日から考えてみてください」——そのひと言が、ワークショップへの橋渡しになりました。
田中氏の講演後はマーケティング戦略設計ワークショップです。このワークショップの最大の特徴は、BtoBマーケティングのチャネルやソリューションを「物理的なカード」として具現化したことです。
コンテンツマーケティング、ウェビナー、展示会、ABM、メールマーケティング、デジタル広告、デモ/PLG、共催ウェビナー、調査リリース、AIO・AEO・LLMOの最適化……カード一枚一枚に、古書のような重厚なイラストが描かれています。

カードは合計28枚あり、参加者は自社が実践しているものを選び、ブルズアイフレームのボード上に配置します。センターの円に置くのが「センターピン」——すべての施策が収束すべき核心施策です。外側の円に置くのは支援施策になります。
カードを並べるという行為が、マーケターの思考を可視化します。「なんとなく重要そう」ではなく、「今はこの施策にリソースを投下する」「成果を最大化するために、これらの施策を組み合わせる」という意思決定を見える化することを狙っています。
各テーブルで生まれたブルズアイの配置は、会社の規模や業種、マーケティングの成熟度によって驚くほど異なっていました。
本イベントは20名のマーケターに参加いただき、20種類のデッキが構築されたのですが、その一部をご紹介します。
ある企業では「オンラインカンファレンス」をセンターに選択。YouTube、書籍出版、コンテンツマーケティング、調査リリースというユニークな組み合わせで、知的権威性の確立を狙うストーリーが読み取れました。

またある企業では中央の円に「フリーミアム」というカードを配置(※画像のように、28枚に自社が使用するチャネルやソリューションがない場合は、ワイルドカードとして自作できるようにしています)。フリーミアムでの登録を促すために、ウェビナー、コンテンツマーケティング、調査リリースが周囲を固めていました。

参加者からは多くの高評価コメントをいただきました。
「シンプルに面白かった」
「生々しい事例も、交流もカードゲームも良かったです!カードゲームすごい面白いです。ぜひ次回もお願いいたします!」
「ワークや交流会で色んなマーケティング担当者の方とお話できて自社の施策の参考になりました」
「同じテーブルの方からご意見が聞けて、施策の参考になりました。交流の際もお話のネタになってよかったです」

アンケートでは「絶対参加したい」「予定があえば参加したい」という回答が大半を占め、5点満点中4〜5点の評価が参加者の9割を超えました。
また、Q&Aタイムでは多くの質問が寄せられ、田中氏からアドバイスをいただきました。

今回のイベントは初の試みで、参加者からは「ワークの時間をもう少し欲しかった」「業界・規模・役職の近い方とワークしたい」といった改善の要望もいただきました。
次回開催時にはこれらの声を活かして、より良い体験をお届けしてまいります。次回の詳細が決まり次第、Biziblのお知らせページやニュースレターにてご案内する予定です。
BtoBマーケターのみなさん、次はあなたがカードを並べる番です!
なお、このイベントをマーケティング施策として自社でも開催したいと思われた場合は、お問合せフォームよりご連絡ください。